井上靖の名言集

人間の幸せというものは、しみじみと、心の底から、ああ、いま、自分は生きているということを感じることだな。そうすれば、自分のまわりのものが、草でも、木でも、風でも、陽の光でも、みんな違ったものに見えて来る。

人間は自分が価値があると信じた仕事に全力を挙げて没入すべきであり、ただそうすることだけに価値があるのかもしれない。私は今日、人間の仕事というものについてそうした考えを持っている。

夜毎、空には神秘な星の光が輝き、地上には正しく生きることを考え、悩みながら人間が生きている。

仕事や努力が適正に評価され報われるというようなことは、その人その人の持つ運であって、世の中にはりっぱな仕事をしても報われない人は沢山いるはずである。人間の生き方というものは、おそらくそうしたこととは全く無関係なものであろう。

年齢というものには、元来意味はありませんよ。

人間というものは、自分が恩恵を受けたたくさんのことを、それを思い出そうとしないと思い出さないものである。

自分が歩んできた過去を振り返ってみると、何とたくさんのすばらしい、一生に一度の出会いがあることか。

現在、君はもう、昨日までとは違った新しい現実の上に立っている。前穂の氷の壁よりも、もっと冷酷な地盤に立っている。よく覚悟しておくことだ。

本当のことを言うことで、本当のことを言う相手を持つことで、お前はこの世に生きて来たことを肯定しようとしている。自分の人生に意義を見出そうとしている。

結婚ということは、本来一種の当てものみたいなものです。充分調べて、これならいいと思って行ってもうまくいかないこともあれば、不承不承で結婚したのがうまく行く場合もある。

努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。

どんな幸運な人間でも、一度は死にたい程悲しくて辛いことがある。